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ブログ| セルフクリンチングファスナーの「セルジャパン」

記事公開日

絞り加工の設計・加工条件を徹底解説|絞り率・材料・不良対策・コストまで

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絞り加工は、金属板から円筒形や角筒形などの立体形状を成形できる代表的なプレス加工です。自動車部品、電機・電子機器の筐体、容器、機械部品など、さまざまな製品に利用されています。 一方で、絞り加工は単純に金属板を金型へ押し込めば成形できるものではありません。材料の種類や板厚、製品形状、絞り深さ、金型形状、加工回数などによって、加工の難易度や品質が大きく変わります。 特に、設計段階で加工条件を十分に検討しないと、「ワレ」「しわ」「傷」「寸法不良」などの不具合につながる可能性があります。 本記事では、絞り加工を実際の製品設計や製造に活用する際に重要となる、絞り率、材料、金型、不良対策、コスト、二次加工まで詳しく解説します。

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絞り加工の設計で重要なポイント

絞り加工の品質を左右する主なポイントは、以下の5つです。

  • 材料の種類と特性
  • 板厚
  • 製品の形状
  • 絞り深さ
  • 金型や加工条件

特に重要なのが、製品の「深さ」と「直径」の関係です。

浅い形状であれば1工程で成形できる場合がありますが、深い形状では一度に大きく絞ると材料に過度な負荷がかかり、ワレや破断が発生する可能性があります。

そのため、製品形状によっては複数回に分けて絞り加工を行います。

また、円筒形に比べて角筒や異形形状は材料の流れが複雑になるため、金型設計や加工条件の調整がより重要になります。

項目

確認するポイント

不適切な場合に起こる問題

材料

延性・加工硬化・材質

ワレ・破断

板厚

製品形状とのバランス

強度不足・成形不良

製品形状

深さ・R・形状変化

ワレ・しわ

絞り率

1工程あたりの変形量

破断・加工限界

金型

パンチ・ダイ・R・クリアランス

傷・寸法不良

加工条件

押さえ力・潤滑など

しわ・ワレ・かじり

絞り加工で重要な「絞り率」とは?

絞り加工では、「絞り率」が加工の難易度を判断する重要な指標となります。

絞り率とは、加工前のブランク径と加工後の製品径の関係を示す値です。

一般的には、製品径を小さくするほど1回の加工で材料を大きく変形させることになるため、加工難易度が高くなります。

そのため、深い円筒形状などを成形する場合は、1回で最終形状まで加工せず、複数回の絞り工程に分ける方法が採用されます。

深絞り加工では加工回数が重要

深い製品を無理に1工程で成形すると、ワレや破断につながる可能性があります。

そこで、

1回目の絞り → 2回目の絞り仕上げ絞り

というように、段階的に製品径を小さくしていきます。

製品の材質、板厚、形状、要求精度などによって適切な加工回数は異なるため、設計段階から加工工程を考慮することが重要です。

絞り加工に適した材料とは?

絞り加工では、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム、銅など、さまざまな金属材料が使用されます。

ただし、同じ金属でも材質によって加工性は異なります。

材料

主な特徴

絞り加工時のポイント

主な用途例

軟鋼・冷間圧延鋼板

加工性と強度のバランスが良い

材質グレードによる加工性の違いに注意

自動車・機械部品

ステンレス

耐食性に優れる

加工硬化や表面傷に注意

厨房機器・筐体

アルミニウム

軽量で比較的加工しやすい

材質・調質による特性差に注意

自動車・容器

銅・銅合金

電気・熱伝導性に優れる

材質によって加工条件が異なる

電気部品・機械部品

 

材料を選定する際は、強度だけでなく、延性、加工硬化、板厚、材料の異方性なども考慮する必要があります。

特に深い絞り加工では、材料の加工性が成形可能な形状や加工回数に大きく影響します。

絞り加工で発生しやすい不良と原因

絞り加工では、材料の流れや加工条件が適切でない場合、さまざまな不良が発生します。

ワレ・破断

絞り加工で代表的な不良の一つが、製品の側面や底部などに発生するワレです。

主な原因として、

  • 1回の絞り量が大きい
  • 材料の延性が不足している
  • 金型のRが適切でない
  • 潤滑が不足している
  • ブランクホルダーの押さえ力が適切でない

などが考えられます。

対策として、加工回数を増やす、材料を変更する、金型形状を見直す、潤滑条件を改善するといった方法があります。

しわ

しわは、材料が金型内へ流れ込む際に、余った材料が座屈することで発生します。

特にフランジ部分では、材料が圧縮されることでしわが発生しやすくなります。

ブランクホルダーによって材料を適切に押さえることが重要ですが、押さえ力を強くしすぎると材料が流れにくくなり、逆にワレの原因となる場合があります。

つまり、絞り加工では「しわを防ぐこと」と「ワレを防ぐこと」のバランスが重要です。

傷・かじり

金型と材料との摩擦によって、製品表面に傷やかじりが発生する場合があります。

潤滑剤の選定や金型表面の状態、材料の流れなどを確認する必要があります。

不良

主な原因

主な対策

ワレ・破断

絞り量が大きい、材料の延性不足、潤滑不足

絞り回数を増やす、材料・金型・潤滑条件を見直す

しわ

材料の流入過多、押さえ力不足

ブランクホルダーの押さえ力を調整

傷・かじり

金型と材料の摩擦、潤滑不足

潤滑条件・金型表面を見直す

寸法不良

金型精度、材料のばらつき、加工条件

金型・材料・加工条件を確認

耳(イヤリング)

材料の異方性

材料特性やブランク形状を検討

絞り加工における金型設計の重要性

絞り加工では、金型の設計が製品品質を大きく左右します。

主な構成部品として、材料を押し込む「パンチ」、材料を受ける「ダイ」、材料を押さえる「ブランクホルダー」があります。

特に重要なのが、パンチやダイに設けられるR形状です。

Rが小さすぎると材料への負荷が大きくなり、ワレや傷の原因となる場合があります。一方で、Rを大きくしすぎると材料の流れや製品形状に影響することがあります。

また、パンチとダイのクリアランスやブランクホルダーの押さえ力なども、加工品質に影響します。

そのため、絞り加工では「金型を作れば成形できる」のではなく、製品形状と材料特性に合わせた金型設計が重要になります。

一発成形と多工程成形の違い

絞り加工には、1工程で最終形状まで成形する方法と、複数工程に分けて成形する方法があります。

浅い形状や比較的加工しやすい製品では、一工程で成形できる場合があります。

一方、深い形状や複雑な形状では、多工程による成形が適しています。

多工程化すると金型や加工工程が増えるため、設備費や加工費が増加する可能性があります。

しかし、無理に一工程で加工すると不良率が高くなり、結果としてコストが増加することもあります。

そのため、絞り加工では単純に「工程を減らす」のではなく、品質・生産性・金型費を含めて最適な加工工程を検討することが重要です。

比較項目

一発成形

多工程成形

加工工程

少ない

複数工程

金型

少なくできる場合がある

複数の金型が必要になる場合がある

生産性

高めやすい

工程数によって低下する場合がある

深い形状

難しい場合がある

対応しやすい

加工難易度

条件によって高くなる

各工程の負荷を分散できる

金型・加工費

抑えやすい場合がある

増加する可能性がある

適した製品

浅い・比較的単純な形状

深い・複雑な形状

絞り加工のコストは何で決まる?

絞り加工のコストは、主に以下の要素によって決まります。

  • 金型費
  • 材料費
  • プレス加工費
  • 加工工程数
  • 材料歩留まり
  • 二次加工費
  • 表面処理費

特に大量生産では、専用金型を使用することで1個あたりの加工コストを抑えられる可能性があります。

一方、少量生産では金型費の負担が大きくなるため、切削加工や板金加工など、別の加工方法が有利になる場合もあります。

したがって、工法を選定する際は「加工単価」だけを見るのではなく、生産数量、金型費、材料費、加工工程を含めた総コストで比較することが重要です。

コスト要因

コストに影響する主な要素

金型費

製品形状、工程数、金型構造

材料費

材料種類、板厚、ブランクサイズ

プレス加工費

加工時間、設備、工程数

材料歩留まり

ブランク形状、製品形状、材料取り

二次加工費

トリミング、穴あけ、タップなど

表面処理費

めっき、塗装、化成処理など

締結部品

ナット、スタッドなどの部品・圧入工程

絞り加工後に必要となる二次加工

絞り加工だけで製品が完成するとは限りません。

製品によっては、

  • トリミング
  • 穴あけ
  • バリ取り
  • タップ加工
  • 溶接
  • 表面処理
  • 締結部品の取り付け

などの後工程が必要になります。

特に薄板の絞り加工品にねじ部を設ける場合、板厚によってはタップ加工だけでは十分なねじ山数を確保できないことがあります。

このような場合には、溶接ナットやクリンチングファスナーなどを使用して、必要なねじ部を形成する方法があります。

絞り加工品にクリンチングファスナーを使用するメリット

薄板の絞り加工品にボルトやねじによる締結部を設ける場合、製品の板厚や要求される締結強度によって適切な方法を選択する必要があります。

クリンチングファスナーは、薄い金属板に圧入することで、ナットやスタッドなどの締結部を形成できる部品です。

タップ加工では十分なねじ山を確保しにくい薄板でも、別部品によって必要なねじ長さを確保できることがメリットです。

また、溶接ナットと比較して、溶接工程を必要としないため、溶接によるスパッタや熱影響を避けたい製品にも適しています。

ただし、絞り加工品への適用では、取付位置の板厚や平坦度、金型との干渉、圧入方向などを事前に確認することが重要です。

絞り加工と締結部品を組み合わせることで、成形だけでなく、その後の組立工程まで含めた製品設計が可能になります。

絞り加工を採用するときのチェックポイント

絞り加工を製品へ採用する際は、以下の点を設計段階で確認しておくことが重要です。

形状

  • 絞り深さは適切か
  • 急激な形状変化がないか
  • 必要なRを確保できているか

材料

  • 絞り加工に適した材質か
  • 板厚は適切か
  • 必要な強度と加工性を両立できているか

加工

  • 一工程で成形できるか
  • 多工程が必要か
  • 二次加工は必要か

締結

  • タップ加工で必要な強度を確保できるか
  • ナットやスタッドなどの追加が必要か

コスト

  • 生産数量に対して金型費は適切か
  • 材料歩留まりは問題ないか
  • 後工程を含めた総コストは適切か

 

工法

得意な形状・特徴

生産数量との相性

主なメリット

絞り加工

円筒・角筒・容器状

中~大量生産

高い生産性、一体成形

板金加工

曲げ・箱形状

少~中量生産

金型費を抑えやすい

切削加工

複雑な立体形状

少量生産

高い形状自由度

スピニング加工

軸対称の円形状

少~中量生産

金型を抑えられる場合がある

溶接・組立

複数部品の接合

幅広い

複雑な製品構成に対応

まとめ

絞り加工は、一枚の金属板から立体形状を効率的に成形できる優れた加工方法です。

一方で、製品形状や材料、板厚、絞り率、金型形状、加工回数などによって加工の難易度が大きく変わります。

特に、ワレやしわなどの不良を防ぐためには、製品設計の段階から加工性を考慮することが重要です。

また、絞り加工後には穴あけ、タップ、締結部品の取り付け、表面処理などの二次加工が必要になる場合があります。

そのため、絞り加工を採用する際には、成形工程だけを見るのではなく、材料調達から成形、二次加工、組立までを含めた製造工程全体で工法を検討することが重要です。

薄板の絞り加工品にねじ・締結部を設ける場合には、クリンチングファスナーも有効な選択肢の一つとなります。

セルジャパンでは、クリンチングファスナーの選定から加工方法、圧入条件まで、薄板金属部品の締結に関するご相談に対応しています。絞り加工品へのナット・スタッドなどの取り付けをご検討の場合も、お気軽にご相談ください。



[監修者プロフィール]
吉岡 正人(Yoshioka Masato)
営業担当課長
製造現場でも担当課長として長年加工に携わる。自身の加工経験とその後の営業経験からユーザーの声を聴き、自社の製品や工法で課題解決策を提案する。

このようなお問い合わせを歓迎しています!

  • 製品開発の初期段階で、高品質かつスピーディーな試作品製作を依頼したい
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